唐木机が欲しい

読んだ本のこと、考えたこと。

アニメについて 1

中学時代、僕はスクールバスなるもので学校に通っていました。

スクールバスですから、席は指定席です。

学校のほうで、だいたい同じ学年の人と隣になるように決められるようです。

学年のはじめの時期に決まり、ずっと固定です。

 

僕のとなりに、顔いっぱいに赤いデキモノのあるそして背が低く横に少し太ったHくんが、座っていました。

寝癖を立て、服はえらくしわくちゃだったことを記憶しています。

 

同意してもらえると思いますが、教室での席しだいで、学校生活が楽しいものになったり、辛いものになったりするものです。

あまり芳しくない席になってしまったときには、早く席替えこないかなあ、などと嘆き暮さねばなりません。

 

教室の席は、おおよそ一ヶ月程度で変わるので、まあ、なんとかなりましょう。

けれど、一年間固定のスクールバスの座席は、最早、不可抗力であります。

 

運命のHくんは僕にとって、芳しくなかった。

彼のせいで、学校生活が苦痛になったといっても過言ではありますまい。

僕の学校は家から大分遠い場所にあったので、おおよそ一時間ほど、バスに乗ってなくてはなりませんでした。

行きだけバスは指定で、帰りは自由だったのでまだ不幸中の幸いといえます。

 

Hくんは、その趣味に問題がありました。

彼は、アニメオタクでした。

特に、エヴァンゲリオンガンダムなど、ロボットが戦って人間ドラマが繰り広げられる系の、極めて熱心なファンでした。

 

僕は、当時、アニメに全く興味がなく、しいて言えば、毎週金曜日の午後7時からのドラえもんを見るくらいなものです。

そういう全く興味のないアニメの話を、僕は、一時間毎日延々と聞かされることになりました。

雨の日もハレの日も、初号機がどうだ結合がどうだとかテーゼがどうとか、基礎的な話からマニアックな話まで、彼の講義が行われました。

こうなれば、もう、授業の前に毎日一時間の授業があるようなものです。

よくもまあネタが尽きないものだ、と思いながら、変な苦笑を顔に浮かべて、適当な相槌をうちつつ聞いていました。

 

下品な話になりますが、彼は熱心さの余り、唾は飛ばす、こちらに身を伸ばしてくる、スゴイ熱弁だったことを記憶しています。

ただし、話内容は殆ど覚えていません。

ただ一言だけ、「エヴァは古典だ」という名言は何故か記憶しています。

 

その学校は、半年ほどで転校してしまったため、彼の横にそう長くは座ってはいませんでしたが、アニメと聞けば彼の顔を思い出します。

どうしているでしょうか。