唐木机が欲しい

読んだ本のこと、考えたこと。

最近見たアニメ、よかったもの4選

さっき書いた記事では、ひたすら怠惰なアニメ鑑賞生活を送っていたと書いた。
そんな生活の中で、140時間つまり12タイトルほどアニメを見ているから、その中で特によかったものを、紹介してみようと思う。

 

1.サクラダリセット



もっと注目されていい良作。
シュタインズゲート見たく、主人公とヒロインがタイムリープする異能力系の話。
それと加えて、三角関係を描いた作品でもある。
この作品の特に素晴らしいのは、三角関係の部分。
正直いって、異能力についてつまりSF的にはあまり特筆すべきところはない。普通に面白いといったところ。
よくある(といっては失礼だけど)異能力を駆使して戦う系。楽しめると思う。

この作品のもっとも素晴らしいのは、三角関係の部分。
ネタバレになるので、書かないけれど、「悲劇のヒロイン」があまりにも悲劇的すぎて素晴らしい作品になっている。
シュタインズゲートのヒロインもなかなかに悲劇的だし、最近終わると話題の「俺ガイル」のヒロインも悲劇的ではあるけれど、そんなレベルではない。
もはや、首チョンパバイオハザード1の隊長レーザーぼとぼとシーンなど、問題にならないほどに、グロテスクに悲劇的。

秒速5cmも、精神的にグロテスクだと話題だけど、次元が違うのかもしれないが、それ以上にグロテスクに僕は感じた。
これほどまでにヒロインをグロテスクに仕立てたのは、悲劇のヒロインの声優、悠木碧さん(以下敬称略)の演技が、真に迫るものだったことだ。
ぼくも結構な数のアニメを見ているけれど、悠木碧のこのサクラダリセットの声は、今まで見たアニメで一番の名演技だと思う。
ちょっとありえないほどに、キャラとぴったりだった。

1話が、凄まじくよかった。今まで見たアニメの1話の中で、ダントツ一位だった。
4話以降、少し冗長かもしれないけれど、それを超えて、終盤にまで歩を進めれば、今までの伏線がどんどん回収されていく。
ネタバレになるので、書かないけれど、ラストについては言いたいことが山ほどある。今度、気が向いたら描いてみようとおもう。
アニメそんなに見ない人でも、楽しめると思う。

 

2.ガーリッシュナンバー


五人の声優が歌ったり踊ったりする話。
よくあるような、主人公の成長を可愛く涙あり笑いありで描いた作品、などではない。
主人公も、とても好かれる性格ではない、「クズ」で徹頭徹尾それを貫いた作品。
コメディー、という扱いでいいとは思うけれど、ただそれだけではくくれない、なんだか、何をやりたいのかわからない作品だと思う。
そこが面白かった。

このアニメは、作画崩壊するアニメを作る人たちを描いたものだ。
だから、このアニメの作画が崩壊していたら結構面白かったのだけれど、作画が文句なしに素晴らしかった。特に、演出が素晴らしい。
背景をぜひじっくりと見て見てほしい。かなり細かく描かれている。
他、キャラの描く角度だとか、動きだとか、オープニングムービーやエンディングムービーも素晴らしいと思う。
何より音楽が、個人的に好みだった。

アニメおたくやアニメ業界を、案に皮肉っているところがまた面白かった。
これが業界の実情なのか、それとも警句なのかわからないけれど、素晴らしいコメディーだったと思う。
次に紹介するSHIROBAKOが、アニメ制作の明るい部分ならば、これは黒い部分なのかもしれない、なんておもう。

アニメあまり見ない人には、少し、「プロトコル」が強すぎるかもしれない。

 

3.新世界より



これは、エグかった。
文明崩壊後、新しく勃興した超能力を使う人類を描いたSF作品。
舞台は、日本。
超能力といっても、西欧的な魔法ではなくて、神社の神官や坊さんが術を使うような、どこまでも日本的な世界観がまた、素晴らしかった。
ファンタジーといえば、どうしても西欧の雰囲気だけれどこの作品は、日本にある神秘的な概念を膨らませて、一つの完結した世界観をつくりあげていた。
元々は、小説らしい。

で、何がえぐいかというと、人間を「殺人・戦争をしない」ように遺伝子や慣習をプログラムした「動物」として描いているところ。
人間は有史以来、ひたすら争い殺しあってきた。
で、この作品は、一度戦争で滅びた文明を、「殺人・戦争をしない」ものとして規定した時に生じる、様々な矛盾を見事に描いているところがすごかった。
性欲や奴隷や学校や社会の構造さえも、そのようなものとして規定しているのにはさすがに気分を害したけれど、なるほどその通りだとうなずかされる。

ラノベをアニメ化したような軽めで愉快な作品では決してなくて、何度か見返さなければ物語を解読できない作品だった。
アニメというよりも、小説(その通りだけれど)の世界そのものだった。

ラストに、鳥肌がたった。
アニメ見る見ないに関わらず、おすすめです。

 

4.SHIROBAKO



20代前半の働く五人の女性を描いた作品。
五人ともアニメ業界で働いていて、彼女たちは高校時代の約束「5人でアニメを一緒に作ろう」という夢に向かって、懸命に毎日を送る、みたいな話。

アニメ会社が描くだけあってやっぱり、リアルなアニメの制作が見れた。(ほんとうは、もっと黒いのかもしれないけれど)
なにか劇的に物語が動いて驚きや感動を与えるという作品ではなくて、働く人の日常を描きつつ、働く意味を探求する作品。

作品中で作られていくアニメと、主人公の心理が見事に一致するように描かれている。
なんの意味もなく、アニメの中で作られるアニメが、改善されたり危機に陥るのではなくて、主人公たちの心の葛藤と見事にかぶせてある。

それと、確か18話あたりで、主人公がレコーディングルームで泣くシーンがあるのだけれど、そこの涙の描写がとても素晴らしいと思った。
台本で顔を隠して、下を向いて涙をボロボロ落とすのだけれど、その描き方がよかった。

 

おわりに

アニメには、一種のプロトコルがあるようにおもう。
例えば、「萌え」だとか、声優が声優らしく声を出すことだとか、キャラクターデザインだとか。
プロトコルに没頭して、声優グッズやらキーホルダーやらフィギュアやらを買う人もいて、そういう人たちが本当のアニメファンであってオタクであるとおもう。
で、ぼくはというと、そのプロトコル固執するほど没頭できない、少し冷めたところがあるから、似非アニメファンであって似非アニメおたくだとおもう。

プロトコルをキモイと決めつけてアニメを敬遠する人たちがいるのは確かで、ぼくもその一員だった。また、アニメおたくが、なんだか気持ち悪いと思っていた面もあった。
だけれど、実際にアニメを見てみると、プロトコルも面白いし、プトロコルの先にあるものだって、本物で芸術だと言われる「文学」や「哲学」や「映画」に全然見劣りをしない。
むしろ、人間が演じるドラマや映画、例えば(こんなこと言っちゃいけないかもしれないけれど)アメリカ輸入のヒーローものや時代劇や刑事ドラマ、朝ドラや深夜ドラマや昼ドラよりは、アニメの方が本質的に面白いように、ぼくには思える。もちろん、主観ではあるけれど。
どうしてそうおもうかといえば、アニメは、概念を直接描き出すことができるから。ドラマや映画は、概念を人間という媒介物を通して描かなければならず、また物理法則に支配されることから、どうしてもノイズが発生する。
人間のidea(理想)を直接的に描き出せるアニメの方が、例えば深夜ドラマよろしく性欲を描くについても、友情を描くについても、哲学的な問題を描くについても、より概念に近しいようにおもう。(もっとも、文字の方が、より概念に近しいのだけれど)
アニメにも、もう、芸術としてため息が出るほど素晴らしいもの、理解及ばぬほど深遠なものも続々出てきているとおもう。(エヴァンゲリオン宮崎駿作品など)

さっき述べたプロトコルだって、どんな媒体にも存在するもので、小説でも詩でも、プロトコルは存在していて、小説をあまり読まない人にとって小説が読みにくいのはそのプロトコルを消化しきれないからだとおもう。
アニメだって、プロトコルを消化できるようになるまで鑑賞するもののように思ったりもする。

 

いずれも、Amazon primeで無料で観れる(はず)なので、ぜひ観てみてください/